遺言公正証書

親から子へ、子から孫へと確実に伝えられるものがあります。

 

 

この度、立命館大学 大学院人間科学研究科 博士課程前期課程修了 人間科学専攻 臨床心理学領域での松本琴美様ご本人の承諾と研究論文の指導教授および60歳以上の遺言を作成された方ご本人と研究協力に協力をされた弁護士事務所、税理士事務所、司法書士事務所および行政書士事務所など専門家の皆さんのご協力を得て、修士論文「中高年者が遺言作成に至る過程」を当事務所のホームページに掲載させていただくことになりました。

「中高年者が遺言作成に至る過程」という卓越した研究論文を作成された松本琴美様に心から感謝申し上げます。

ご本人が執筆された研究論文は、PDFでお読みいただけますが、ここでは松本琴美様ご本人が作成された同論文の概要を引用させていただきます。

わたくしたち専門家にとって、大変勇気づけられる内容であり、遺言作成にあたりご相談者がどのようなお気持ちでご相談にこられるのか、また、遺言書作成後、依頼者はどのような課題に取り組んでおられるのかを松本氏は明らかにされています。

新たな研究成果は、現在、遺言書を作成しようかどうか思案されている方やそのご家族にとっても遺言書作成が、ご自身の未来を切り開くものになることが実証されており、わたくし自身、大きな感動を覚えています。

少子高齢化社会から人口減少社会に入り、わたくしたちを取り巻く環境は、厳しい状況にありますが、その中にあって、松本様の研究成果は、家族や資産の継承という問題の解決策をも提示されるもので、遺言書や相続を扱われる法律専門家、公証人役場の皆さん、裁判所や家庭裁判所の調停委員にぜひお読みいただきたいと希望しております。

以下に、松本琴美様が実際に執筆された論文の概要を掲載させていただきます。本文は、下記のダウンロードページをクリックされるとお読みいただけます。

 

「修士論文 中高年者が遺言作成に至る過程」の概要 

 立命館大学大学院 人間科学研究科 松本琴美

「終活への興味・関心が高まり、争族件数が増加する現在、相続対策の重要性は高まっている。このような状況下で、遺言作成意向を持つ中高年者は一定数いるものの、実際に作成する割合は低い。その背景には、自身の死を考えることに対する恐怖や不安や書き方・法知識の不足があると考えられる。本研究は、中高年者が遺言を検討し始めてから作成に至るまでの過程に着目し、取り組む当人の心理的プロセスと社会的影響を明らかにすることを目的とした。そこで、60歳以上の遺言を作成した人物5名に半構造化インタビューを実施し、複線経路等至性モデリングによる分析を行った。

 その結果、人々が遺言作成に至らない背景にあると考えられていた「死への恐怖や不安」や「書き方・法知識の不足」は。研究協力者によって経験しておらず、もしくは必要なステップとして捉え、解決する行動選択をして経験していたことが分かった。また、協力者たちは、家族や後世への希望と期待を遺言を遺言に込めていたこと作成後も断捨離、遺品整理、葬儀や墓の準備といった更なる終活や家族の終活サポートに取り組んでいたことが明らかになった。遺言を作成したことで、未来に対するイメージが開かれ、希望や期待と共に新たな課題が見えてきたものと考えられる。以上のことから、家族や後世への想いと遺言の検討・作成過程を経て生まれた「自分ができることをやる」という姿勢は、取り組んだ当人の更なる終活、そして人生そのものを支えていることが考察された。」